奇才ゲームクリエイターLucas Pope氏インタビュー 開発編。傑作『Return of the Obra Dinn』を生み出すため、いかに苦しみ抜いたのか | AUTOMATON

奇才ゲームクリエイターLucas Pope氏インタビュー 開発編。傑作『Return of the Obra Dinn』を生み出すため、いかに苦しみ抜いたのか | AUTOMATON

製品版では乗員・乗客が合計60人いますが、最初は120人にする予定でした。オブラ・ディン号の大きさを考えると、操船するにはそれくらいの人数が必要だからです。ですが最終的には60人にまで減らしました。そのあとは60人分の死因や、手がかりの残し方を考えていきました。プレイヤーに物語を理解してもらうための工夫にも時間を費やしました。

当時の船乗りは、航海士クラス以外は命の価値が低い、いくらでも替えがいる消耗品のように扱われていました。あまり名前で呼び合うこともないですし、個室があるわけでもありません。物語上、一般乗組員に関する手がかりを多く残すわけにはいかなかったのです。

もともとのコンセプトでは、死因を特定する方に重きを置いていました。身元の特定はそれほど重要ではなかったのです。ですが、いざゲームをつくり始めてみると、死ぬ瞬間を体験するわけですから死因の特定は簡単だと気づきました。パズルになっていませんし、死因を埋めるのはそれほど楽しくありませんでした。
そこでプロトタイプをつくるころには、死因ではなく身元の特定を目標としたゲームになっていました。ただ、答えを埋める際の文章構成としては死因の項目を残しておきたかったので、ゲームプレイ上は重要ではないものの、死因の入力が必要となっています。重要ではない部分でプレイヤーがフラストレーションを溜めないよう、ざっくり合っていれば正解とみなすようにしています。

人間というのは、ひとたびチートする方法があると気づくと、本当はチートしたくないと思っていてもチートに手を出してしまいがちです。少しでも詰まるとズルをしようとします。そこをどうにかしないといけないと分かっていました。3人1セットで推理させるという仕組みは、私なりの答えなのです。推理メカニックはそれほど変えていませんが、ズルをするのは格段に難しくなりました。正攻法で解くよりも、当てずっぽうで埋めていく方が難しいでしょう。

ちなみに自分で収録したのはごく一部だけです。サウンドライブラリから必要な素材を探してミックスしたりエフェクトを加えたり、アレンジしていくことで、その場にいるかのような感覚を生み出そうとしたのです。
音がスゲェとおもっていたけど、サウンドライブラリってかなり優秀なんだな...

人は全ての音を意識的に聞いて生活しているわけではありません。ときには船がきしむ音が耳に入ることもありますが、多くの場合はドアが開く音や、遠くの話し声を優先的に聞いています。音のボリュームがほかの物音に比べて低くても、人間の耳はそれらを先にキャッチするようにできているんです。

Lucas Pope Return of the Obra Dinn Papers, Please
#20190722 #0722

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筆者について

jigsaw(ジグソウ、1991年6月12日-)は日本のプログラマ、会社代表。本名は小林貴也(こばやし たかや)。主にウェブ、フロントエンド領域で活動している。カミング・スーン合同会社の代表社員。
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