最後の決闘裁判 感想

from 20211027 #1027
最後の決闘裁判 感想
最初に書いときたいのは、FOX(もう20世紀スタジオなんだっけ...)が パンフ を出してなくて悲しかったことです
リドリー・スコットでこんだけの役者が出ててパンフなしはひどいでしょ~~
1部では展開が早すぎて誰が誰やらわからんうちにトントン進んでいって狼狽したが、2部でアダム・ドライバー視点はじまった時は「はい面白いーー!こんなんおもろいに決まっとろう!!こうやって喧嘩ちゅうのは起きるんよなあ〜」と謎の上から目線で今から思えば呑気に中世を楽しんでいた
CK3やりたくなってきちゃうな〜とか
ベンアフ扮するピエール伯爵もいかにもな雰囲気で、とてもよかった
劇中ではベン・アフレックだと気付かなくて、エンドロールで驚いた
バットマン の時はダークナイトリターンズぽさが先行してたイメージだったけど、これぐらいの放蕩リーダー感あってもよかったなあ、などと
もともとル・グリの方をベンアフがやる予定だったそうだが、スケジュールの都合でこっちに収まったそう
逆によかった感
アダム・ドライバー視点の(前半のうちは)ファムファタルものっぽくもあったけど、さすがに城のシーンはアダム視点でも「うーん、さすがにこれはちょっとどうなの?」感はあったが、まあそこまで深刻に捉えていなかった
ていうかそもそも密会のシーンがあって「なーんだ、やっぱり不義はあったんじゃ~ん」とまんまと油断させられた
そもそもここの密会シーンの時点で時系列がよくわかんなくて、長子誕生祝いに泊りがけで行ったのか...?よくわからんかったが、そこまでもテンポが早くてどんどん進んでいくので、まあそういうもんかなと
ほいで絶望の3部がはじまるんだけど、もう3部に出てくる男たちがみんな俺であり俺たちで心底うんざりしてしまった
白眉はやっぱりスーパー勘違い野郎と化したアダム・ドライバーが迫ってくるところで、本当に気持ち悪くて、実際に経験したことがある人の前ではとても言えないことではあるけど、まるで自分も凌辱されたような気持ちになった
しかも勝手に絶頂して、急に賢者タイムみたいになるのもめっちゃキモい(褒めてる)
ここの性描写に対して、なくても描けたし、現実世界で被害者に対しては常に「主観的な体験がない」状態で接するので、そこも含めてなくてよかったのではないかという意見があるそうだが、俺はあった方が絶対にいいとおもう
映画に限らずだけど、フィクションでは他人の主観で世界をみることができるのがいいところだとおもってて、3部では常に妻の視点で中世をみていく中で性的暴行の悲惨さをきちんと描くことでショックメンタリー的な、頭をぶん殴れるような体験をさせてもらったとおもう
マット・デイモン視点の時は、不器用だけど実直で忠実なイイ男感をかもしていたのに、妻目線になった途端にぶっきらぼうだしがさつっていうかなんていうか...イイ男ではなかったのがキツかった
これもキモかったシーンだけど、レイプされたっちゅーのに「あいつをお前の最後の男にさせるかーい」つって性交を求めてくるのマジで最悪だった
あと、マット・デイモンの方は、結婚式では「神から降りてくるもの?」として捉えていたが、妻はそうではなくて、思い出しキモ!になってしまった
聖職者は「まあみんなやってるし、特権で逃げちゃいなヨ」とかぬかしてくるし、裁判のシーンも完全にセカンドレイプでもうね...
史実を全然予備知識なしで劇場行ったので、決闘のシーンは割と素直にハラハラしながらみた
決闘のシーンの外野もなかなかに不快で、市井の人々は娯楽として決闘を楽しんでいるだけで、それ以上のことはなくて「こちとらレイプされてんですけどー!」と言いたくなっちゃうし、フランス王もなんとも言えない浮世離れした雰囲気がグロテスクで気持ち悪かった
そもそも勝ったらそれでオッケー!みたいなロジックもおかしいし、もっと言えば強姦とか姦通?姦淫?とかは直接的な罪ではなくて、あくまでも男の持ち物を傷つけたから~ってのも「はぁ~~」という
義母は世継ぎはまだか攻撃してくるし、夫は「前妻との間にはできたからお前が悪い」みたいな言い草で腹立った
印象的に挟まれている夫が交配用の雌馬を買いつけてきたところに、興奮した雄が乱入してきて~というあたりがこの映画の全てを表していた
誰も彼も女性を「産む機械」としか見ていなくて(あれ?聞き覚えがあるな?)一夫一妻制とはいえ、ハレムとか大奥くらいの扱いしかされてなかったんだよなあと...
伯爵は妻が身重なのに、放蕩三昧だったし...
ここまで書いてきて、そして劇場を後にする時から「あれ?これ現代でも同じ話やってません...?」というのを暗に突き付けられていて、非常に苦しい
最も恐ろしく感じるのは、夫の視点にせよ、間男の視点にせよ、主観では全く妻の視点に気付けていないところだとおもう
間男視点だと、妻は完全にファムファタルで、ちょっと気のいい話をしたくらいで「あーこれは俺に気がありますわ~やっぱそうだよね~」となるのはちょっとわかるし、自分が(最終的に結婚したのでよかったものの)妻に言い寄っていた時期とかこういうキモさがあったんじゃないかと反省した(レイプはしてないけど)
夫視点だと「あー今いい夫やってますわ~!俺務め果たしてるもん~~」みたいな
妻目線だと「いやそういうのは求めてないから」ってのを相手のためだと勝手におもって「やってやってる」感を出してしまったりとか
あとは、愛想よく付き合ってるとおもってるのに、全然そうは見えていないというあたりとか
セクハラとか痴漢の次元でも、やっぱり当人の主観において全くハラスメントの自覚がないっぽい感じの供述をしていたりするのがずっと恐ろしいとおもっていたが、まさにこういうことなんだよなあと....
もちろんそういう脚色もしているのだろうけど、こう映画のストーリーを真に受けると、もう700年近くこういう構造を残したまま社会をやっているんだなと絶望的な気持ちになる
義母がおもむろに自らの体験のカミングアウトをしてくるが、黙っていたからこそここまで生きてこれたんだと
バリバリ生存バイアスの賜物だろうけど、とはいえそういう面はあるかもしれないとどうしても思ってしまう
そういう辛く苦しい体験をしてきた数多の先人たちの屍の上に立って生きているんだと...
今この時代にもまた全然存在しているのであろうが....

関連ページとランダムに選ばれたページ

筆者について

jigsaw(ジグソウ、1991年6月12日-)は日本のプログラマ、会社代表。本名は小林貴也(こばやし たかや)。主にウェブ、フロントエンド領域で活動している。カミング・スーン合同会社の代表社員。
さらに詳しく

寄附について

面白かったらBTCETHでの寄附をお待ちしております。
寄附のきろく